愛譚学園学級日誌



ここは私立愛譚学園である。

言わずと知れた生まれ変わりが多く集う謎のマンモス校。

今日はそんな学園に通う裕喜の日記を覗いてみよう。

〜転校初日〜

俺は折角なので今日から日記を書こうと思う。

相変わらずというか転校早々トラブル続きだった。

だがそれよりも驚いた事がある。

それはいきなり現れた人達だ。

いきなり桃太郎の生まれ変わりだとか言われた。

最初は生まれ変わりなんて信じられなかったけど………。

でも否が応でも信じなければならないような出来事にあった。

………でもそのおかげで初めて友達が出来た。

そして鬼である赤鬼紅とも友達になれた。

獣基っていう昔桃太郎に仕えていたという3人。

それを抜きにしても友達でいたいと思う。

雪代、雅彦、咲羽、これからもよろしく。

〜○月○日〜

今日は色々な生まれ変わりがいることが分かった。

同じクラスの巴さんは巴御前の、椀野は一寸法師の生まれ変わりであることが分かった。

他にも色々いるらしいがどの位この学園にはいるのだろう?

〜○月☆日〜

本当に生まれ変わりが沢山いるんだな。

今日は雪代達に教えて貰って色々分かった。

何でこの学園にはこんなに生まれ変わりが集まるんだろう。

ちょっと不思議だ。

そんなこんなで数日後裕喜はまたも面白い出来事に出会った。

「雪代昼飯にしよう」

「そうですわね。雅彦と咲羽はもう少ししたら来ますわ」

「あぁ、授業が長引いてるのか」

「そのようです。裕喜様、今日は和食にしましたの」

「へぇ〜。雪代は器用だな!」

ブー

「はい、雪代ティッシュ」

「すみません裕喜様」

「楽しそうだね」

「えっ?」

見上げるとそこに立っていたのは美少年だった。

だが裕喜にはもちろん見覚えはない。

「え、え〜っと」

「あぁ、突然ご免ね?」

そう言って笑った少年はそれだけで女の子10人は雪代のごとくなりそうな感じだ。

紅が格好いい系の美少年だとする。

この少年はどちらかといえば可愛い系の美少年である。

「君が噂の桃園裕喜君だよね」

「え、あ、あぁ。あんたは?」

「あぁ、そういえばまだ言ってなかったね」

ニッコリと笑って答えた。

「僕は源義若丸と言います。」

すると若丸は裕喜の前にあるものを差し出した。

「源義経の生まれ変わりといった方が分かり易いかな」

「えぇっ!」

義経ってあの有名な天狗の技とか鞍馬山とかいうあの義経か?!

「裕喜様、源義君は警備委員会に所属なさってますの」

「警備委員会ってあの?」

「はい、その警備委員会です」

「俺そういえば誘われてるんだっけ」

「僕は今日は誘いに来たんじゃないので安心して下さい」

「はぁ」

「ただ巴さんがだいぶ気に掛けているようだったから少し気になってね」

「あぁ」

ただあれは俺だけじゃなくて一寸もなんだよな。

「まぁ見に来たというか挨拶にきたというか」

少し照れて笑う彼はまた可愛いという印象がピッタリと当てはまる。

「まぁ巴さんには悪いけど俺はちょっと入れないんです」

「うん、事情は聞いています。無理強いする気はないから安心して」

「あ、ありがとう」

「じゃあ今日はこれで。突然お邪魔してごめんね?」

「い、いえそんな!」

「それじゃあ」

「あっ、はい」

颯爽と去っていった後裕喜は少し呆然としていた。

「歴史上有名な生まれ変わりって意外にいるんだな………」

「そうですわね、裕喜様がまだ出会っていないだけでこの学園にはまだまだおりますわ」

そうして裕喜はまだ気づいていなかった。

今日がやたらと出会ってしまう日だということを。

その日のお昼休みの事だった。

裕喜が雪代達と廊下を歩いている時にふいに人とぶつかってしまった。

「わっ、ゴメン!大丈夫か?!」

「大丈夫です」

そうして見た少年は一見少女とも取れる様な感じであった。

先ほどとはまた少し違う感じの美少年だ。

例えるなら先ほどの若丸がファンクラブが出来るタイプの美少年だとしよう。

対してこの少年は思わず守ってあげたくなる様なタイプだ。

だがどちらにしてもファンクラブがあってもおかしくない少年であった。

「あっ、君ってもしかして桃園裕喜君でしょう」

「えっ、何で知って………?」

「わぁ、聞いていた通りだ」

「聞いていたって………」

「あぁ、まだ教えてなかったっけ?」

「あっ、もしかして」

「僕は公金輝弥と言います」

「えっとまさか」

「はい、そのまさかです」

「裕喜様彼は」

「金太郎の生まれ変わりって言えば分かると思います」

「金太郎ってあのまさかりかついだ?!」

「はい、その金太郎です」

一寸法師がいるくらいだからいてもおかしくはないんだろうけど………。

なんかこの学園生まれ変わりも含めて美形がやたら多くないか?

「桃園君は桃太郎でしょう?」

「あぁ」

「お互い昔話になってるなんてビックリだよね」

「あぁ、まぁ」

どっちかっていうと俺は桃太郎が俺だということの方がビックリだが………。

自分が昔は退鬼師だったことが信じられない。

だが信じるしかないんだよな、こう色々あれば。

「あっ、もう授業が始まるね」

「あっ、本当だ!」

「それじゃあ」

爽やかに去っていった彼を見送って裕喜は思った。

なんで今日はこんなに生まれ変わりに逢うんだ?

だが裕喜は甘かった。

そのすぐ直後のことである。

「わっと!」

また裕喜は人にぶつかった。

今日は良く人にぶつかるなぁ。

「すみません!」

「いえ」

うわっ。

裕喜がぶつかったのは今度は雪代にも負けない様な美少女だった。

なんか今日はやけに美形に逢うな………。

「あっ、貴方は」

「あら、ということは貴方桃園裕喜さんですね」

「へっ?」

「裕喜様こちら同じクラスの」

「国文科1年に所属しています」

「ってことは………」

「はい、この方も生まれ変わりですよ」

「はい」

そう言うと彼女は一歩下がって礼儀良くお辞儀をした

「私は姫竹月夜と申します」

「竹、月………」

「裕喜様も竹取物語はご存じでしょう?」

「ってことは………」

「えぇ、かぐや姫の生まれ変わりです」

「えぇっ?!」

あれって月の人間じゃなかったっけ?!

「そんな驚かれなくても………」

「裕喜様、裕喜様もご存じの通り物語は正しく伝わっているとは限りませんの」

「そう、かぐや姫は月の人間だと伝えられていますけれど実際は少々異なりますのよ」

「ってことは人間だったってことですか?」

「そういうことになりますわね。あの物語は大分昔に作られた物ですし」

多かれ少なかれ話はどこかしらで曲がって伝わってくる。

「はぁ………」

まさかかぐや姫が人間だったなんて。

あっ、でも獣基だって今は人間なんだからそう考えるとあながち信じられなくもないか。

「あっ、そうでした、もう授業が始まりますわよ?」

「まぁ、そうでしたの?裕喜様教室までお送り致します」

「いいって。雪代が遅れるだろ?」

「でも………」

「先に参りますわね」

「あっ、それじゃあ」

そうして彼女は優雅に去っていった。

その放課後、パレードの最中だった。

いつもの様に鬼のパンツならぬ鬼のスーツをパレードしている時奇妙なものに遭遇してしまった。

何となく話に入れないような入る気も失せるような………。

「やっぱりあの優しいところが好きですわ」

「勇敢なところがとても素敵ですわ」

「源義君はとても格好いい方ですものね」

「彼だってとても優しくて羨ましいですわ」

「あら?」

「もしかしてお邪魔しています?」

「え、いや、その………」

「裕喜様?」

「裕喜ってもしかして桃園裕喜君なんですわね」

「あの桃園裕喜君ですのね」

あのってナンデスカッー?!

「私は織星姫乃と申します」

「私は御前静架と申します」

「因みに織り姫の生まれ変わりですわ」

「静御前の生まれ変わりですの」

「えぇっ?!」

それって七夕のあれと義経の妻だったっていうあの?!

「あら、もうこんな時間」

「あら急がないと殿方達が待ちくたびれてしまいますわね」

「それでは失礼させて頂きます」

「ご機嫌よう」

キラキラと美少女2人は優雅に去っていった。

ってかなんで今日はこんなに生まれ変わりとばっかり逢うんだ?!

「裕喜様、彼女たちは校内でもバカップルとして有名なんですの」

「バカップル?」

「はい、時と場所を関係なくどこでもいちゃついているという噂がまことしやかに囁かれてますの」

「噂………」

でも間違っていない気がするのは何故だろう?

〜○月□日〜

今日はやたらと生まれ変わりにあった。

しかもどういう訳か皆美形だった。

キラキラしてたな。

転校してきてこれだけの生まれ変わりに逢うなんてこの学園本当にどうなってんだ?

とりあえず本日は鬼との遭遇はなし。

これまでにクリアした鬼の勢いで他も出来るといいんだけど………。

これから覚醒が出来ればまた何か違うだろうか。

まぁ頑張ってみようと思う。

「俺だってきっと出来るよな」

こうして裕喜の1日は明けていく。









はい。 やりたい放題です。 勝手に作っちゃったよ。 本当は桃太郎と同じくらい有名だから金太郎は出すはずじゃなかったんですが。 他に居なくて出しちゃいました。 だって浦島太郎と併せて3大日本昔話だと思ってますから。 出る可能性があるかなと。 まぁ、所詮はサイトですからね。 いいと思ってます。