永遠の愛なんて、馬鹿げているわ















今よりも














ここは東方司令部にある大佐の執務室。

いつも通り仕事で忙しい………のに!

当の大佐はやる気の欠片も感じられない。

まったく、後々苦労するのは大佐なんですよ?

本当に分かっているのかしら。

「大佐、手を動かして下さい」

「中尉、分かってはいるんだがどうにもねぇ…」

「どうにも、なんですか?」

「こうも同じ様な内容のものばかりでは、飽きてもくるものだよ」

「何馬鹿なこと仰っているんですか。仕事なんですから仕方がないでしょう」

「いやいや、そうは言ってもだねぇ」

どうあがいてもサボりたいのだろう、大佐の言い訳は続いていく。

ここであまりグチグチ言われて、皆のやる気まで下がってしまってはたまらないわ。

ここは一言言ってやるべきね。

「大佐」

「ん、なんだね」

「雨の日以外の日にも無能になりたいのですか」

「………」

周りの空気が気のせいなのか、数度下がった気がする。

「………わ、私は無能ではない!やってやろうじゃないか!

 これ位の書類、私にかかればどうと言うことはない!!」

「そうですか?では、早々にサインを終えて下さい」

「わかっている!」

本当にこの言葉はよく効くわ、などとリザが思っていることは

大佐以外には周知の事実であった。

































カリカリカリカリ









ペンが書類の上をはしる音だけが響く。

大佐はいたって真剣…いや、必死?

懸命に無能呼ばわり返上と言わんばかりの働きぶりだ。

本当に、いつもこれなら苦労しないのに…。

何とかとハサミは使いよう、と言うけれど

まさしく、大佐と無能は使いようね。









































「………よしっ!終わったぞ中尉!!」

あれから随分たった。辺りはもう既に暗くなっている。

時刻は、午後9時といったところ。

まぁ、これだけの量をこれ位の時間で終わらせられたのなら上出来だ。

それだけ今日の書類は多かった。

「………ご苦労様です。今日の書類はこれですべて終了です」

「っはぁ〜、終わったー………」

よほど疲れたのだろう、大佐はそのまま机に突っ伏してしまった。

自然と笑みが浮かぶ。

「お疲れ様です。何か入れましょうか?」

「あぁ、頼むよ」

「コーヒーでよろしいですか?」

「あぁ」

リザがコーヒーを入れて戻って来ると、執務室には既に大佐しか居なかった。

まぁ、もうこんな時間。帰っていてもおかしくはない。

「大佐、お待たせしました」

「あぁ、ありがとう」

そう言ってコーヒーを受け取る大佐、リザはそのまま自分の机に帰ろうとした。

































グイッ




































急に腕を捕まれて危うく体勢を崩しかけた。

「な、何なさるんですか!」

そう言って振り向けば、目の前に大佐の顔。

「リザ」

急に呼ばれた名前に不覚にも、ドキッとしてしまった。

「は、離して下さい。それと今は仕事中です」

「もう終わったじゃないか」

赤くなっているであろう顔を見られたくないのに、全く離す気配なし。

何となく悔しいが、仕方なく観念する。

「で、何か御用ですか?」

「つれないねぇ、全く。いや、なにちょっと聞きたいことがあってね」

「何ですか?」

「………リザは、永遠の愛って信じるかい?」

「………はい?」

唐突な質問に思わず間抜けな返事をしてしまった。

「永遠の愛、だよ。信じるか?」

「何故急にそんなことを聞かれるのですか?」

「なんとなく、だよ」

「はぁ…、永遠の愛、ですか?」

「そうだ、最近よく聞くものでね」

「………」






















永遠の愛………

それは変わることのないもの………

いつまでもある、変わらない気持ち………































「………?リ…」

「私は、………私は永遠の愛なんて存在しないと思います」

「…ほぅ、なぜだね」

「変わらずに愛している、なんてあり得ません」

「なぜそう思うのかね」

「愛している、というのはその人の気持ちでしょう?

 どんな人間でも気持ちは変わるものです。

 永遠に変わらない、なんて、まずないでしょう」

「なるほどな」

「………それに………」
































変わらないものなんてない

変わっていくからこそおもしろい








それは、恋だってなんだって同じこと








例えば昨日のあなたより、今日のあなたは新しい







気持ちだって変わっていくのよ







昨日と違ったあなたを見つける








変わらなければわからない









ふとした行動にドキドキする










同じ気持ちじゃ意味がない







もしも変わらない愛なんてものがあったとしても

その愛はとてもつまらない気持ちね

だって………































「…それに、変わらない気持ちなんてつまらないでしょう?

 毎日いろいろなことを発見して

 今以上に相手のことを好きになるかもしれない、

 もしかしたら、嫌いになるかもしれない。

 …変わらないということは、嫌われることはありません。

 ですが、それ以上好きになることもない。

 そんな決まり切った感情を持つよりも

 日々の気持ちを大切にすることの方が、よほど有意義だと思います。

 だから私は永遠の愛なんて信じません」

「………く、はは、なるほどな!君らしい!!」

大佐は何がおかしいのか、突然笑い出した。

「大佐?」

「いや、なにね、私も君に賛成だな」

「………?」

言うと大佐は立ち上がり、リザの頬に触れた。

突然のこと、驚きと恥ずかしさで顔が赤みをおびる。

「確かに昨日と同じ気持ちでは損だな。

 何せ、こんなに可愛い反応を見られるのだからね?」

「た、大佐!!!」

「はははっ!私も日々精進せねばな。

 君に対しての、ね?」

「ば、馬鹿なこと仰ってないで帰りますよ!」

「はははっ、わかったわかった」






































あなたのことを好きになって

もっと知りたいと思った

あなたのことをたくさん知って

もっともっと好きになった










































永遠の愛なんて信じている人は可哀想ね

だって、変わらなければ分からないことだって

たくさんたくさん存在するもの

そんなことも知らないで

相手に対して向上することを忘れた人の恋は

きっと、つまらないものになってしまうわ









































私はそんなの許さない

あなたを想うこの気持ちを

決してつまらないものなんかにさせないわ






























































永遠の愛なんて馬鹿げているわ

そんなものよりも…

私は自分の気持ちを大事にしたい

























初ー!ロイアイ小説ーーー!!! 甘い…のかなぁ………? 一応両思いv設定デース♪