雪が降る。 Snow 「あっ、雪だ」 窓の外を見る。 いつから降っていたのだろう、少しではあるが地面が白く染まっていた。 「道理で寒いと思った…」 ここに来てどの位経ったのだろう。 少なくとも3ヶ月以上は経っているだろう。 それにしても…。 「僕が来てから初めてだな」 雪が降ったのは。 雪には思い出が有りすぎて。 アレンはそっと雪を見つめる。 多分一番最初に雪を見たのは僕がまだ1人ぼっちだった頃。 覚えてはいないけれど、でも雪は好きじゃなかったと思う。 だって冷たいだけだったから。 覚えている最初に見た雪はマナに拾われた日。 そして…僕が僕になった日。 その時の雪はなんだか嫌いになれなくて。 次に見た雪はまだマナがいた頃だった。 ピエロをした後の帰り道。 横にはマナがいて、でもとても寒くて。 寒くて寒くて震えていた僕。 手を握ってくれた時に僕はなぜか雪が嫌いじゃなくなった。 だって暖かかったから。 寒いだけの雪じゃなくなった時に、僕は少しだけ雪が好きになった。 その次に見た時も、その次も、いつも僕の隣にはマナがいた。 だんだんと雪が好きになった。 その時はこんな時間が続いていくんだと信じていた。 …でも。 貴方と見た最後の雪は、貴方との最期の時。 僕が貴方を…マナを失った日。 僕がまた1人ぼっちになった日…。 それからの雪はただ冷たくて。 貴方といた時に感じた暖かさはどこにもなくて…。 「マナ…」 雪の日はいつもよりマナの隣にいられた。 僕は自然と笑顔になった。 いつも感じる温もりが雪の日はもっと近くに感じられた。 だから雪の日が好きになった。 だから貴方のいない雪は嫌いだった。 「寒ッ…」 ガブッ 「イテッ」 耳にいきなり痛みがはしった。 「ティム…」 ティムなりに心配したのだろう、心配そうに周りを飛んでいる。 「ゴメン、ありがとうティム」 そういえば師匠のところに居た時はどうだっただろうと思ったがすぐやめた。 なんか気分が悪くなってきた気がする。 でも寂しいと思う暇はなかったかもしれない。 インドにいた頃は雪も降らなかったし。 今はどうだろう。 すると今度はティムが窓に近づいていく。 「どうしたの?」 外に出たいのかと思い外を見た。 「リナリー、それにラビまで何してんだろう?」 不思議に思って見ていると気がついたのか手を振っている。 思わず降り返すと今度はなにかジェスチャーをし始めた。 「降りてこいってこと?」 そう思いジェスチャーで返す当たっていたらしい。 早く来いと促された。 雪の日に外に出て何をする気なんだろう? アレンは雪で遊んだことがない。 だから雪の日にできる遊びなんて知らなくて当然だろう。 とりあえず外に出ようと思っていると、突然外が騒がしくなった気がした。 見てみると神田が怒ってラビを追いかけていた。 大方ラビが何かしたのだろう。 神田は六幻を手にかなり本気で攻撃しようとしている。 リナリーは慣れているのか笑うだけだった。 それを見てなんだか可笑しくなってきた。 「楽しそうだなぁ…」 早くいって自分も混ぜてもらおうか。 雪の日にすることなんて知らないけど、とても楽しそうだ。 そう思いアレンは急いで外へと向かった。 ここに来てから初めての雪はなんだかとても楽しかった。
久々に更新しましたっ!