「僕はここにいます」

アレンは開口一番にそう言った。

「でもぉアレン置いていくとどこに行っちゃうか分かんないしぃ」

「うっ、それはそうですけど」

アレンは方向音痴の部類に入る。

いやどうとってもそれ以外の何でもない。

「どうして急に行かないなんて言うのぉ」

「えっ?」

「今回だって千年公にお願いして来たのにぃ?」

「それは………」

理由は簡単なことだ。

ただロードの役に立ちたい。

それだけなのだ。

でもロードお姉ちゃんと行動するとどうしても守られてばかりなんだ。

だから。

だから別々に行動しようと思った。

そして偉いねって褒めて貰いたいんだ。

家族だからなのもある。

でもあの中ではまだ小さい自分はなかなか役には立てない。

だから今回は無理してでも連れてきて貰ったんだ。

ちょっとでも皆が楽になったらいいなって。

「………ちょっと見てみたいところが出来たんです」

「見てみたいとこぉ?」

「はい。連れてきてもらって勝手なのは分かってます。でも」

「いいよぉ。もともとアレンに任されたものじゃないしぃ」

「ごめんなさい………」

「いいってぇ。じゃあ回収が終わったら迎えに行くねぇ〜」

「ごめんなさい、ありがとうロードお姉ちゃん」

「もうアレンは可愛いなぁ〜」

「わっ!」

そう言ってギュッと抱きしめられる。

どうもロードはアレンに抱きつくのが好きならしく気が付けばいつも抱きしめられていた。

顔が嬉しくて良く赤くなる。

それがどうも可愛いらしい。

「じゃあ後で迎えに行くねぇ〜」

「はい。頑張って下さいロードお姉ちゃん」

瞬間ロードの後ろにいきなり扉が現れた。

そこに入っていったかと思うと次にはもう扉は何処にもなかった。

「よぉしっ!」

辺りが静寂に包まれた後アレンは背筋を伸ばす。

そして足を勢いよく駆け出すと目指したのはロードが向かったところとは逆方向だ。

「頑張って探そう」




































「神田の方はどうだった?」

「それらしいものは見あたらなかった」

「そう。この街の奇怪の原因って本当になんなのかしら?」

「チッ」

「ねぇ神田、神田はどういうのだと思う?」

「あぁ?」

「この街の奇怪の原因よ」

「知るかよ。だが当たりの可能性は高そうだ」

「そうね」

一応この街の脱出方法は一通り試してみた。

だがやはり奇怪を解かなければ外には出られなさそうで。

「チッ」

「ねぇ神田、聞きたいことがあるの」

「何だ?」

「ノアの事なんだけど」

ピクッ

「確か神田が見たノアは普通の子供だったのよね?」

「………あぁ」

「それってどんな感じの子だった?」

「………別にそこら辺にいそうなただのガキだ。暗かったんでよくは見えなかったがな」

「ふぅん」

「何か気になることでもあったのか?」

「気になるって程のことでもないんだけど………」

「何だ?」

「さっきここまで来る途中でね、迷子の子に会ったのよ。その子が不思議なことを言ったの」

「不思議なこと?」

「ええ。また会いましょう、って」

「また、会いましょう?」

「そう。まるで後で会えることが分かっている様な」

「………」

「でもきっと気のせいよね」

「おい」

「何?」

「今度そいつに会ったら油断するな」

「え?」

「分かってんだろ。どいつがアクマか分からねぇことぐらい」

「………分かってるわ、それくらい」

「ノアか………」

神田はふとあの時の子供を思い出した。

月明かりの中で一度だけ出会ったあのノア。

もしかしたらあの子供かもしれない。

なぜだか神田はそんな気がしてならなかった。








































小さな小さな1ピース

カラカラ カラカラ 音がする。



























私は思います。 方向音痴って仕方ないよね。 だって道とかさ。 地図とか全然。 アレンが道に迷うのも凄く良く分かります。