It is believed only of me










昔、どうしても信じられないものがあった






それは相手が悪いとか、何かをしたからとかじゃなくて






たぶん…、僕がいけないんだ



















いくら相手が好意を示してくれても





あぁ、この人は僕のこと同情してるんだ





通り過ぎるヒトが言う 可哀想の一言も





あぁ、みんなで僕のことを哀れんでいるんだ






そして本当は






心の中では 僕のことを蔑んでいるんだ






そう思った





それは あの人に出会ってからも同じで






何で僕を連れてきたの?






僕が可哀想だったから?






いらない






そんな同情いらないんだ!






でも






あなたと過ごしていく内に それが同情でも哀れみでもないと分かって






他の人みたいに この奇怪な腕を見ても






気持ち悪いとか 気味が悪いとか






同情した薄情な人間と同じ様なことは言わなくて






本当に『普通』に接してくれた






それが僕には何よりも嬉しくて






そして唯一 信じられるモノだった






けれど 最初の頃はまた捨てられるんじゃないかって






周りの景色が闇に染まる度 僕の心も闇に覆われて






あなたがふといなくなっただけで






置いていかれる 捨てられる






そうしたら…






またひとりぼっちになってしまう……







そんな不安にいつも捕まっていた






だけど あなたは気付いた時






僕にたくさんの愛のコトバをくれた






それから僕の不安が和らぐまで






いつも僕に囁いてくれた














暫く一緒にいて 分かった






あぁ、この人は僕のことを捨てたりはしない






僕の名前だけの …それさえも捨てた親という人間とは違うんだと






この人は信じられる と






だけど






あなたを信じることが出来ても 唯一どうしても出来なかったコト






それは






愛する ということ






大切にしてくれているのは分かった






信じられることも分かった






だけど 愛するということは






頭で理解できることじゃないから






『理解』は出来ても 『分から』なかった…






あなたに言われる愛の言葉も 理解は出来たけど






…どうしても 心の何処かでいつも疑う僕がいた










そうして あなたが死んで






僕は何か 言葉では言えない『何か』をなくした気がした






いつも感じていた 暖かい気持ち







それが何か気付いたのは あなたをアクマにした時…






あなたが最後にくれた 愛のコトバ






その時に感じた 暖かい気持ち






あぁ、これが








その時に『分かっ』た







『愛』しているということか…







馬鹿だね こんなにもならないと分からないなんて






本当に僕は『理解』していただけ…






……いや 理解すらしていなかったのかもしれない……







本当に馬鹿だよ…






こんなにも暖かなあなたの『愛』を感じていたのに…















今 あなたはもういないけれど…







今なら言えるよ







「マナ………」







僕はあなたを








本当に『愛』しています















アレン独白です。 題名の日本語訳は『僕の唯一信じられるモノ』です。 アレンはなかなか人の気持ち、とりわけ好意に疎いと思います。 捨てられたら、そりゃ人間不信にもなります! という勝手な思いこみから(笑)!!